かつての私は、毎年夏になるとベランダや軒下に作られるアシナガバチの巣に頭を悩ませ、羽音が聞こえるたびに家の中に逃げ込むような生活を送っていました。一度はスズメバチが換気口から侵入しようとしたこともあり、その時の恐怖は今でも忘れられません。しかし、ただ怖がってばかりでは何も解決しないと一念発起し、どうすれば蜂を寄せ付けない家を作れるのか、あらゆる方法を実践し、失敗と成功を繰り返しながら辿り着いた今の私のルーティンをご紹介します。まず私が着手したのは、春先の「水際対策」です。それまでは蜂がブンブンと飛び回るようになってから慌てて殺虫剤を買いに走っていましたが、実は三月の終わり、まだ少し肌寒い時期の行動がその年一年の安心を左右することを知りました。冬眠から覚めたばかりの女王蜂が一匹で物件探しをしているこの時期に、私は家の外周をくまなくチェックします。そして、過去に巣を作られた場所や、蜂が好みそうな暗くて静かな隅っこに、お手製の「ハッカ油スプレー」をこれでもかというほど吹き付けます。ハッカの刺激的な香りは人間には爽やかですが、嗅覚の鋭い蜂にとっては地獄のような異臭らしく、これだけで偵察に来た蜂がUターンしていくのを何度も目撃しました。ただし、ハッカ油は揮発が早いので、私は一週間に一度、週末の朝に家の周りを一周してスプレーすることを「おまじない」のように習慣化しています。次に取り組んだのが、ベランダの環境改善です。以前の私は、使い終わったプランターや空の植木鉢、畳んだ段ボールなどをベランダの隅に置きっぱなしにしていました。これらが蜂にとって最高の隠れ家になっていたのです。今は不用品を一切置かず、常に風通しが良い状態を保っています。また、洗濯洗剤や柔軟剤も、蜂の活動が盛んな時期だけは香りの弱いものに変えました。驚いたことに、これだけでベランダに迷い込んでくる蜂の数が激減したのです。さらに、物理的なガードとして、全ての換気扇の出口に細かい網目のネットを貼りました。これは蜂だけでなく、他の不快な虫の侵入も防いでくれるので一石二鳥でした。もし一匹の蜂が庭でホバリングを始めたら、私は決して手で払ったり声を上げたりしません。蜂は急な動きに反応して攻撃的になるので、私はただ「木」になったつもりで静止し、蜂が自分を背景の一部だと思って去っていくのを待ちます。蜂を寄せ付けない生活とは、力でねじ伏せることではなく、蜂にとって「ここは居心地が悪くて、何も良いことがない場所だ」と根気強く伝え続けることなのだと悟りました。今の私の家には、かつての緊張感はありません。季節の移ろいを感じながら、窓を大きく開けて深呼吸できる自由。それは、日々の小さな対策の積み重ねによって勝ち取った、何物にも代えがたい平和なのです。
軒下の蜂に怯えていた私が辿り着いた平和な暮らしの作り方