「毎年、七月から八月にかけては電話が鳴り止みませんね。でも、本当は四月に一度お会いできていれば、お客様の不安も出費も少なくて済んだはずなんです」と、大阪市内で害虫防除を請け負うプロフェッショナルの池田さんは苦笑いしながら語り始めました。池田さんによれば、アシナガバチの活動時期は近年、地球温暖化やヒートアイランド現象の影響で確実に前倒しになっていると言います。かつてはゴールデンウィークを過ぎてから増えていた相談が、今では三月下旬の桜の時期から寄せられるようになりました。都市部のコンクリート住宅は熱を持ちやすく、建物の隙間で眠っていた女王蜂たちが実際よりも早く春の訪れを感じ取ってしまうのです。池田さんが現場で目にする実態として最も深刻なのは、アシナガバチの活動時期のピークである真夏に、無理をして自力で駆除を試みるケースです。「八月の巣は働き蜂が十数匹以上いて、一匹が警報フェロモンを出せば、全員が一斉に標的を追ってきます。防護服もなしにスプレー一本で立ち向かうのは、まさに丸腰で戦場に行くようなものです」と池田さんは警鐘を鳴らします。また、池田さんはアシナガバチの活動時期の中でも「九月の終わり」を特に警戒するようアドバイスします。この時期は新女王と雄蜂を守るために巣全体の緊張感が最高潮に達しており、刺された際の毒の注入量も多くなりがちだからです。さらに、近年増えているのが、十月に活動を終えたはずの巣を触って、中に残っていたハチに刺される事故です。アシナガバチの活動時期が完全に終わるまでは、たとえハチが見えなくても油断は禁物なのです。池田さんの会社では、駆除だけでなく「年間防虫プラン」を提案しています。これは、ハチが巣を作り始める春先に予防処置を行い、活動時期を通じて定期的に点検を行うものです。「プロの仕事はハチを殺すことだけではありません。住まいをハチにとって居心地の悪い場所に作り変え、お客様に安心を届けること。そのためには、ハチのカレンダーを共有することが第一歩なんです」と池田さんは力強く語ります。現場の最前線でハチと向き合うプロの言葉には、自然界のバイオリズムを理解し、適切に介入することの重要性が詰め込まれていました。
駆除業者に聞くアシナガバチの活動時期と現場の実態