「窓用エアコンを取り付けた後にゴキブリが出るようになったという相談は、実は設置の基本を守っていないケースがほとんどなんです」と語るのは、大手家電量販店で長年エアコンの設置工事に携わってきた技術者の佐藤さんです。佐藤さんによれば、窓用エアコンは誰でも取り付けられる手軽さが売りである反面、その「素人作業」による綻びが害虫の侵入を招く最大の要因になっていると言います。プロの視点から見た、失敗しないための防虫設置のポイントを伺いました。佐藤さんがまず指摘するのは、付属の「窓パッキン」の使い方です。「多くの方は付属のゴムを適当な長さに切って貼るだけで満足してしまいますが、ゴムは時間が経つと硬化して縮みます。また、窓を閉める際の圧力で位置がずれることも多い。私たちは、パッキンを貼った後にさらに上から『養生テープ』や『アルミテープ』で境界線を補強します。特に夜間に外からライトを当てて、室内から光が漏れていないかを確認するのがプロの鉄則です」と佐藤さんは強調します。次に、佐藤さんが警鐘を鳴らすのが「アコーディオンパネルの隙間」です。「あの蛇腹のパネルは、構造上どうしても上下のレール部分にわずかな遊びができます。ゴキブリはその遊びを突いて入ってくる。私たちは、レールとパネルの間にスポンジ状の緩衝材を詰め込み、物理的に押し歩く隙間をなくします。また、パネルの表面に防虫スプレーを直接コーティングしておくのも、心理的な壁を作る上で効果的です」さらに、意外な盲点として佐藤さんが挙げるのが「ドレンホース」の扱いです。「窓用エアコンの中には、ホースを使って排水するモデルがありますが、そのホースをベランダの床にそのまま垂れ流していると、そこから奴らが逆流してきます。ホースの先端には必ず防虫キャップを付け、さらに地面から少し浮かせて設置するようにアドバイスしています」佐藤さんは最後にこう締めくくりました。「窓用エアコンは窓を犠牲にして設置する機械です。だからこそ、窓以上の気密性を自らの手で作る覚悟が必要です。設置を終えた後、本体を前後左右に軽く揺らしてみてください。その振動で僅かでも隙間が見えるようなら、そこが今夜の侵入ルートになりますよ」プロの教えは、単なる殺虫剤の散布よりも遥かに重みがあり、論理的で確実な防除の真髄を突いていました。
窓用エアコンの設置で失敗しないためのプロが教える防虫対策