春から夏にかけて、家の周りを同じアシナガバチが毎日飛んでいるように感じ、不安になったことはありませんか。そのハチは、決してあなたをストーキングしているわけではありません。彼らの行動には、ちゃんとした理由があるのです。アシナガバチが毎日同じ場所にやってくる主な理由は、大きく分けて四つ考えられます。第一に、巣を作るための「場所探し」です。春先、冬眠から目覚めた女王蜂は、たった一匹で巣作りのための最適な場所を探し始めます。雨風をしのげる軒下やベランダ、窓のサッシの枠、室外機の裏などは、彼女たちにとって絶好の物件候補です。何度も同じ場所を訪れるのは、その場所の安全性や環境を入念にチェックしている「偵察行動」なのです。この段階で対策を講じれば、巣作りを未然に防ぐことができます。第二に、「餌探し」です。アシナガバチは、芋虫や毛虫といった蝶や蛾の幼虫を捕らえて肉団子にし、巣にいる自分たちの幼虫の餌とします。もし、あなたの家の庭木やベランダのプランターに、アブラムシや青虫がたくさんいる場合、そこはアシナガバチにとって格好の狩場となります。毎日同じ場所に通ってくるのは、そこに豊富な餌があることを学習しているからです。この場合、アシナガバチは庭の害虫を駆除してくれる益虫としての側面も持っています。第三に、「水飲み」のためです。ハチも生きていくためには水分が必要です。植木鉢の受け皿に溜まった水や、庭に置いたバケツの雨水、小さな池などが、彼らの水飲み場になっている可能性があります。最後に、そして最も警戒すべき理由が、あなたの家の敷地内のどこかに「既に巣がある」という可能性です。毎日見かけるハチは、巣と狩場を往復しているだけかもしれません。この場合、巣は日々大きくなり、働き蜂の数も増えていきます。毎日同じアシナガバチを見かけるということは、あなたの家が彼らにとって何らかの魅力的な場所であることを示しています。その理由を突き止めることが、適切な対応への第一歩となるのです。