お米に虫が湧くという悪夢を二度と繰り返さないためには、その保存方法を根本から見直す必要があります。多くの人がやりがちな「米袋の口を輪ゴムで留めて、シンク下で常温保存」という方法は、虫たちに「どうぞ、ここで繁殖してください」と快適な環境を提供しているようなものです。お米を虫から完全に守るための、最強の保存術をマスターしましょう。最も効果的で、専門家も推奨する唯一無二の方法、それは「冷蔵庫での保存」です。コクゾウムシなどの米の害虫は、気温が十五度以下になると活動が著しく鈍り、繁殖することができなくなります。家庭用の冷蔵庫内、特に野菜室は、温度が低く保たれているため、虫が活動・繁殖するための条件を根本から断ち切ることができるのです。たとえ購入したお米に卵が潜んでいたとしても、冷蔵庫に入れておけば、孵化することはありません。具体的な方法としては、お米を購入してきたら、すぐに密閉性の高い容器に移し替えて、冷蔵庫の野菜室で保管するのがベストです。二リットルのペットボトルをよく洗い、乾燥させたものや、お米専用の保存容器(ライスストッカー)などがおすすめです。ペットボトルは、冷蔵庫のドアポケットに立てて収納できるため、スペースの節約にもなります。もし、冷蔵庫にスペースがない場合は、できるだけ風通しが良く、涼しい冷暗所で保管し、市販の米びつ用の防虫剤(唐辛子成分などを使ったもの)を必ず入れるようにしましょう。しかし、これはあくまで次善の策です。お米の鮮度や美味しさを保つという意味でも、冷蔵庫での保存に勝るものはありません。お米は「生鮮食品」であると意識を改め、正しい保存を習慣化することが、虫の発生を防ぎ、毎日美味しいご飯を食べるための最も確実な道なのです。