お米の中に虫がうごめいているのを発見した時、「食べたくない」と感じるのは、至極当然の、そして正しい感覚です。その不快な光景を前にして、まず考えるべきは、どうすればこれ以上被害を広げずに、安全かつ衛生的に処分できるかということです。ここで絶対にやってはいけないのが、虫が湧いたお米の袋を、そのまま地域のゴミ収集場所のゴミ箱にポイと捨てることです。その行動は、悪夢をさらに拡散させる引き金になりかねません。コクゾウムシなどの害虫は、非常に生命力が強く、ゴミ袋のわずかな隙間から這い出したり、薄い袋なら食い破ったりして、ゴミ箱の中で、あるいは家の他の場所で繁殖を始めてしまう可能性があります。そうなると、お米だけでなく、パスタや小麦粉、そうめん、ペットフードなど、他の乾燥食品にも被害が及ぶ二次災害につながる恐れがあるのです。虫が湧いたお米を捨てる際の正しい手順は、「完全に密閉して、逃げ道を断つ」ことです。まず、虫が湧いたお米の袋ごと、大きめの、できれば厚手のビニール袋に入れます。そして、中の空気をできるだけ抜きながら、袋の口を輪ゴムやテープで固く、二重三重に縛って、完全に密閉します。こうすることで、万が一、中で虫が活動しても、外に逃げ出すことはできなくなります。その上で、自治体の指示に従って可燃ゴミとして処分してください。そして、処分が終わったら、必ずお米を保管していた米びつや収納ケースの内部を徹底的に清掃します。内部に残った米ぬかや、こぼれた米粒、そして目に見えない卵などを掃除機で完全に吸い取り、その後、アルコール除菌スプレーなどで拭き上げて、しっかりと乾燥させましょう。この一手間が、新たな悲劇を防ぐために非常に重要なのです。