ワラジムシとダンゴムシは、どちらも同じ甲殻類等脚目に属する、非常に近しい親戚です。生息場所や食性も似ているため、多くの人がこの二つを混同しがちです。しかし、いくつかの明確な違いを知っておけば、誰でも簡単に見分けることができます。その違いを理解することは、それぞれの生態への理解を深める上で役立ちます。最も有名で、最も確実な見分け方が「体を丸めるかどうか」です。危険を感じた時に、アルマジロのように体を完全に丸めて球体になるのが「ダンゴムシ」です。この防御姿勢は、外敵から身を守るための彼らの最大の特徴です。一方、「ワラジムシ」は、体の構造上、ダンゴムシのように体を丸めることができません。危険を察知すると、彼らはその平たい体と多数の脚を活かして、驚くほどのスピードで走り去ります。つまり、触ろうとした時に丸まればダンゴムシ、猛スピードで逃げればワラジムシ、と判断できます。次に、見た目にもいくつかの違いがあります。まず「体の形と光沢」です。ダンゴムシの背中は、丸くなるために分節がはっきりしており、全体的にドーム状に盛り上がっています。また、体表には光沢があることが多いです。対して、ワラジムシの体は、より平たく、小判のような形をしています。背中はザラザラとしており、ダンゴムシのような光沢はありません。さらに、「脚の速さ」もヒントになります。のっそりと歩くダンゴムシに比べて、ワラジムシの動きは明らかに俊敏で、素早いです。生息場所にも、わずかながらの傾向の違いが見られます。ダンゴムシは比較的乾燥した場所でも見られますが、ワラジムシはより湿度の高い、ジメジメした環境を好む傾向が強いです。庭の石をひっくり返した時、その場に留まってゆっくりと動き出すのがダンゴムシ、一目散に四方八方へ逃げ出すのがワラジムシ、とイメージすると分かりやすいかもしれません。この見分け方を覚えておけば、次に彼らに遭遇した時に、少しだけ冷静に観察できるのではないでしょうか。