一人暮らしの虫対策は、時に、義務感やストレスを伴う、あまり楽しくない作業になりがちです。しかし、もし、その予防策が、あなた自身の心と体をリラックスさせる、心地よい時間になるとしたら、どうでしょうか。「アロマテラピー」の考え方を取り入れることで、虫対策は、単なる害虫駆除から、日々の暮らしを豊かにする、新しい習慣へと生まれ変わるかもしれません。アロマテラピーとは、植物から抽出した香り成分であるエッセンシャルオイル(精油)を使って、心身の健康やリラクゼーションに役立てる自然療法です。そして、その精油の中には、私たち人間にとっては心地よい香りでありながら、ゴキブリや蚊、アリといった、多くの昆虫が非常に嫌う「忌避効果」を持つものが、数多く存在するのです。その代表格が、「ハッカ(ペパーミント)」です。その清涼感あふれる香りは、気分をリフレッシュさせてくれるだけでなく、ゴキブリやアリを強力に遠ざけます。夜、キッチンの片付けが終わった後に、ハッカ油を数滴垂らしたアロマディフューザーを焚けば、それは、害虫への警告であると同時に、一日の疲れを癒す、安らぎの時間となります。夏の夜の安眠を妨げる「蚊」に対しては、「レモングラス」や「シトロネラ」、「ゼラニウム」といった香りが有効です。これらのオイルを無水エタノールと水で薄めて、網戸やカーテンにスプレーしておけば、天然の虫除けとして機能します。また、衣類を食べる蛾の仲間は、「ラベンダー」や「シダーウッド」の香りを嫌います。乾燥させたラベンダーのポプリや、シダーウッドのブロックを、クローゼットやタンスに入れておけば、大切な衣類を守ることができます。これらの天然の香りは、化学的な殺虫剤のように、即効性があるわけではありません。しかし、その穏やかな効果は、私たちの暮らしに優しく寄り添い、害虫にとって「なんとなく居心地の悪い家」という印象を、静かに、しかし確実に与え続けてくれるのです。
一人暮らしの虫対策とアロマの活用